症状事例
Works消化器
便秘を放っておくて大変なことになります。

コロコロのウンチは出るけど、そう言えばウンチをしない日もあるなぁ・・・
でも、ご飯もよく食べるし、下痢もしていない、特に病院に行くほどでもないかな・・・
思い当たる飼主さんは意外と多いのではないでしょうか。
確かにコロコロしたウンチをしていると、気にならないかもしれません。
しかし、徐々に排便の回数が減って数日は間があくようになり、すごく力んでウンチをする・・・
そんな状態を放置していると、その先大変なことになるかもしれません。

明確な定義はありませんが、排便回数が減り、排便するのに苦労したり、残便感がある状態をいわゆる“便秘”と言います。
実は、ネコちゃんにとても多いのですが、気付かれにくい症状かもしれません。
病院では診察中にお腹を触ると、硬くて太いウンチがたくさん溜まっている子がいます。
それが主訴(受診した理由)ではありません。
しかし質問をすると、ウンチをするのが苦しそうだったり、ウンチを踏ん張り過ぎて吐いていることがよくあります、というお答えが返ってきます。
それこそ“便秘”ですね。
便秘が慢性化する・・・つまりウンチが結腸に長く滞留している状態が続くと、ウンチの水分が体に吸収され過ぎてしまいカチカチになります。
さらに結腸が大量のウンチで伸びていき、どんどん広がってしまいます。
すると結腸の筋肉や神経に異常が起こり、十分収縮できなくなり、ウンチを肛門に送り出す機能が落ちていきます。
こうなると、元の状態に戻ることが難しくなっていきます。
この状態を「巨大結腸症」と呼んでいます。

巨大結腸症の症状には、排便が難しくなるだけでなく、しぶりや血便、腹痛、食欲不振、嘔吐などがあります。
カチカチの巨大なウンチの脇から下痢が出てくることもあるので、便秘とは思われないこともあります。
つまり、“便秘”も進行すると“巨大結腸症”となり、体調不良の原因や命に関わる問題まで出てくる、ということです。
では、なぜ便秘になるのか・・・
原因は色々あり、胃腸の問題だけとは限りません。
・水分摂取の不足や脱水(特に慢性腎臓病の猫ちゃんは脱水しているので便秘になりやすい)
・落ち着いて排便できない環境(引越しや新たな同居動物)
・栄養バランスの悪い食餌
・加齢による筋力の低下や関節炎の痛み
・毛繕いにより飲み込んでしまった毛玉
などなど、様々な要因があります。
よって、便秘の治療は単純なものでもなく、原因の疾患も治療しつつ、排便の手助けもしないといけません。
便秘は放っておいて自然に治ることは少ないので、ひどくなる前に解決してあげることが大切です。
比較的軽度な便秘の場合には、食物繊維の力で便がスムーズに出やすくなるようなフードや、食物繊維そのものを普段のお食事に添加することで改善します。
便秘かな?と気になる症状のある場合、早めにご相談ください。