2021年6月25日
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呼吸器

短頭種は呼吸がつらい⁈

短頭種は呼吸がつらい⁈

「短頭種」と呼ばれるワンちゃんたちは、マズル(鼻の長さ)が短い“鼻ペチャ”顔が特徴のとても愛くるしい姿で大人気の犬種です。

フレンチブルドック・パグ・ボストンテリア・ペキニーズ・チワワ・狆・ブルドック・ブリュッセルグリフォン・シーズー・キャバリア・ボクサーなどが短頭種になります。

この種類のワンちゃんたちは、人間がいろいろな目的に合わせ品種改良をした結果、独特な姿形をしているのです。

例えば・・・ガリレオの看板犬にもなっているイングリッシュ・ブルドックは、牛と戦うために作られた犬種がルーツになっています。
牛の足に噛みついたまま鼻で呼吸ができるように、顎よりも鼻が引っ込み鼻の穴が上を向くような顔に作られたと言われています。

ブルドック

この鼻ぺちゃ顔がたまらなく好きな方も多いかと思いますが、このお顔のせいで生まれつき呼吸器にいろいろな問題を抱えています。

それが「短頭種気道症候群」・・・短頭種特有の呼吸器に関わる“解剖学的構造”が原因で起こる気道障害の総称です。

この症候群に含まれる疾患は、軟口蓋過長症、外鼻孔狭窄症、気管低形成や気管虚脱、喉頭小嚢外反症、喉頭虚脱や喉頭麻痺などがあり、これらが複雑に絡み合い症状を示します。

これらの疾患があると、口や鼻からの空気の通りが悪いため、他の犬種に比べて一生懸命呼吸をしなくてはなりません。

例えて言うなら、人が“ストロー”で呼吸をしているようなものです。

そのため、激しく息を吸う時にガーガーと音が鳴ったり、大きなイビキをかく子がいます。

また呼吸がしづらいため、短頭種は熱を発散させるのが苦手です。
つまり体温が上がりやすく下がりにくい・・・暑さにとても弱いのはそのためなのです。


よく短頭種は飛行機に乗れない、という話しを聞いたことがあるかと思います。
実際、ANAは5/1-10/31の期間、短頭種の搭乗を中止していますし、JALはフレンチブルドックとブルドックが通年において搭乗できません。

これも、短頭種の気道の問題が命に関わることが理由なのです。

フレンチブルドック

では、この短頭種気道症候群はどうしたらよいのでしょうか。

この疾患は顔や喉の構造が原因のため、内科的治療(お薬を飲む)では完治しません。
薬で症状が和らぐ場合もありますが、根本的な治療には外科手術が必要です。

しかも、この疾患は年齢とともに病態が進行することが多く、適切な治療をするなら早い時期に実施することをお勧めしています。

「軟口蓋過長症」
喉の奥の軟口蓋は、鼻と口それぞれの通り道を隔てる後方に伸びた柔らかい部分を言いますが、この部分が通常よりも長く厚いため、喉を塞ぐほどになっているのが軟口蓋過長症という疾患です。
治療は、この軟口蓋を短く切除するのです。

当院の看板犬あこちゃんも、1歳になる前に軟口蓋を切除しました。
そのおかげで“イビキ”が静かになり、呼吸が楽になったようです。

軟口蓋過長症ー切除前

軟口蓋過長症ー切除後

「外鼻孔狭窄症」
短頭種の鼻の穴をよく見てみると、“穴”というより“カーブした線”のようになっている子がいます。これでは、スムーズにに空気が入っているわけはありません。

この線をきちんとした穴にする手術があります。

狭い鼻の穴

手術後ー鼻の穴が広がった

これで変わるの?と思われるかもしれませんが、この穴の違いで呼吸はだいぶ楽になります。

この手術は軟口蓋切除の手術と同時に実施することも多い手術です。

気管低形成や喉頭虚脱のように、手術では治せない疾患もあります。

しかしながら他の疾患も含め、短頭種の子はどの程度の問題を抱えているかを知っておくことが重要です。

検査をして確認すれば、何に気をつけるとよいか、今のうちに出来ることはないか、をご相談できるかと思います。

梅雨から夏場は、短頭種にとっては危険な時期です。

十分に気を付けて夏を乗り切りましょう!