2021年5月31日
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症状事例

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循環器

心臓の雑音

心臓の雑音

下痢で来院されたチワワの子、身体チェックで聴診をしたら(聴診器で心臓の音を聴くこと)、心雑音が聴き取れました。
これまでに指摘されたことがなく、後天的な心疾患の疑いがあると考えられます。

この子は食欲元気もあり、特に心臓が悪いと思える症状はありません。

しかし、雑音がするということは、心臓に何かしらの問題があるということ。
雑音の特定と病態の判定のためにいくつかの検査を実施します。

心臓の超音波検査

必須の検査は・・・
・心臓の超音波検査
・胸部のレントゲン検査

必要に応じて実施する検査は・・・
・心電図検査
・血圧測定
・血液検査

心臓の解剖図

検査の結果、僧帽弁の変性による閉鎖不全と血液の逆流が観察されました。
どういう状態かというと、心臓の左側の部屋(左心房と左心室)を隔てる2枚の弁(僧帽弁)がきちんと閉じることができなくなり、逆流が生じている・・・ということです。

体中を流れる血液は一定方向を守らなくてはなりません。

①全身を巡った血液→②心臓(右心房)→③心臓(右心室)→④肺→⑤心臓(左心房)→⑥心臓(左心室)→⑦全身
これが決まった流れの方向になります。
肺で血液は酸素をたくさん取り込み、それを心臓の左心室から全身に回していくのです。

高齢の小型犬に多い心臓の病気は
⑥→⑦に問題が起こる「僧帽弁閉鎖不全症」
③→④に問題が起こる「三尖弁閉鎖不全症」
があります。

いずれの場合も、異常部位で血液の逆流が起こります。

今回のように初期の段階では、症状はなく、全身にそれほど影響はありません。

進行すると・・・
カーッと痰を吐くかのような咳をすることが増えてきます。

さらに進行すると・・・
疲れやすく、お散歩も長く歩けなくなったり、なんとなく痩せてきたりします。
そして、肺に血液が鬱滞し水が漏れ出て“肺水腫”になると、とても苦しくなります。
酸素が十分取り込めなくなり、一気に元気がなくなります。

治療を始めるタイミングは
心臓に雑音が聴診され、心臓の一部が大きくなっているのが確認された時が投薬開始の目安になります。
この段階で症状がない子も多いため、治療が必要なの?という疑問もあるかもしれません。
しかし、血液の逆流の原因となる”変性した弁”は、元に戻ることはなく、少しずつ悪くなっていきます。
心臓の治療は、その進行をなるべく遅くし症状が出ないように、もしくは症状を和らげるために行う治療になります。
また、手術という方法もありますが、特殊な設備と高度な技術や経験が必要になります。

まずは、“心臓に雑音がある”と言われたら、きちんと心臓の評価をすることから始めましょう。