2021年6月25日
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循環器

先天性心疾患 その2

先天性心疾患 その2

今回は「心臓のお話し その1」に続き、先天性心疾患(生まれつき心臓や心臓周囲の血管などに異常がある病気)の子をご紹介したいと思います。

もうすぐ2歳になるロシアンブルーという種類のとってもきれいな猫ちゃんが来院されました。
食欲も元気もあるとのことですが、痩せてきたので心配になったそうです。

確かにまだ若いのに体が細く痩せていて、呼吸が早すぎるのが気になります。

胸に手を当てて驚きました・・・心臓がだいぶ悪い!
すぐに聴診器を当てて心臓の音、肺の音を聴きますが、精査が必要と判断しすぐに検査を実施しました。

必要なのは
レントゲン検査・心臓超音波検査・心電図、さらに血圧測定です。

超音波画像

その結果、診断名は「動脈管開存症/PDA」という先天的な心臓病でした。

動脈管開存症は、お母さんのお腹の中にいる時には必要な血管(動脈管と言います)が、生後完全に閉じるはずが残ってしまった状態のことを言います。
この血管が残っていると、全身に流れるべき血液の一部が”肺”や”心臓”に戻ってしまいます。
すると、肺や心臓に非常に大きな負担がかかり、呼吸障害や心臓の問題が現れるようになります。

例えば、このような症状です。
☑︎呼吸が早い
☑︎あまり動かない
☑︎ご飯の食べが悪い
☑︎痩せている

このような症状でまさか心臓が悪いとは思いませんよね。

この猫ちゃんの場合、心臓はパンパンに大きくなり(重度の心拡大)、胸の中にお水が溜まっていました(胸水)。
動脈管という血管はとても太く、心臓はもうギリギリの状態でした。

レントゲン画像

実はこの猫ちゃんは子猫の時に心臓に雑音があると指摘され、去勢手術を見送ったそうです。しかしながら、その後心臓の検査をしないまま成長し、今に至るということでした。

この動脈管開存症は“手術”で根治できる病気なのです。
子猫の時に手術していれば、今とっても元気に過ごしていたでしょう。

しかし小さい時に症状が出ない場合えや、獣医師側がきちんと精査する必要があることをお伝えしないと、この猫ちゃんのようなことになります。

動脈管開存症は放置すると、3歳くらいまでしか生きられない病気です。
しかも、それまでにとても苦しい思いをします。

この猫ちゃんの心臓や肺の状態は、かなり重篤でした。
「心房破裂」と言って、心臓の一部が限界に達し、裂けて出血しているのです。

しかし・・・内科治療をやっても治らないし、それほど大きな改善も見込めません。
リスクは非常に高くなっていますが、外科手術をするしか助かる道はありません。

ということで、すぐに手術になりました。

手術

胸を開けて心臓の上にある太い動脈管を確認しました。
ゆっくり慎重に周囲の組織から剥離し、動脈管に糸を通そうとしましたが、どうにもスペースが狭く、手術は難航しました。
最終的にクリップに切り替えて動脈管を結紮しました。

手術次の日、猫ちゃんはすっかり元気になり、すぐにご飯を食べ始めました。

術後のレントゲン画像

そして、1ヶ月後の検診では・・・
体重が増え、以前よりも活発に元気に過ごしているとのこと。
大きかった心臓もすっきりし、肺や血液の流れにも問題はなくなりました。

この猫ちゃんは、どうにか手術が間に合い、よい結果になって良かったですが、本当だったら子猫の時にやってあげられたかもしれませんね。
こういうことがなるべく起きないように、小さい時にしっかり健康チェックを受け、何か気になることがあれば、検査をして明らかにすることは大切です。

心臓に異常がないか、うちの子は大丈夫かしら?とご心配な方はお電話ください。