JOURNALガリレオ通信犬の血液型

わたしたち人間に血液型があるように、犬にも血液型があります。
人間の血液型はABO式血液型とRh式血液型が知られており、「A型・B型・O型・AB型」と「Rh(+)、Rh(-)」のそれぞれどれかに分類されます。

人間の血液型

犬の血液型は、DEA(Dog Erythrocyte Antigen /犬赤血球抗原)という抗原型で分類され、DEA1.1、DEA1.2、DEA3、DEA4、DEA5、DEA6、DEA7、DEA8の8種類の抗原の有無(+/ー)で表します。
つまり人間のように「わたしはA型です」とはならず、「この子はDEA1.1(+)、DEA1.2(-)、DEA3(-)、DEA4(+)・・・」となり非常に複雑となるため、実際には全てのDEA型を調べることはしません。

実はDEA型の中で急性の免疫反応を強く起こすのが“DEA1.1型”です。
そのため、病院ではDEA1.1を調べ、陽性(+)か陰性(ー)かをまず確認します。

普段、犬の血液型を意識することは少ないと思いますが、臨床現場で血液型を調べるのは、輸血を受ける時か供血する(ドナーになる)時です。
全犬種においてDEA1.1(+)の犬は60%くらいとやや多めですが、犬種によって大きく異なることも知られています。
DEA1.1(+)が90%以上と高かったのは、ダックスフント、M.ピンシャー、M.シュナウザー、パグ、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、ロットワイラーなどで、DEA1.1(ー)が90%以上と高かったのが、フレンチ・ブルドッグ、イングリッシュ・ブルドッグ、ボクサー、フラットコーテッド・レトリーバーの4犬種である、という報告があります。

DEA1.1(ー)の犬の血液はどの犬にも比較的安全に輸血ができますが、DEA1.1(+)の血液をDEA(ー)の犬に輸血するのは危険を伴います。
動物病院で輸血をする際はまず血液型DEA1.1を調べ、その上でクロスマッチ試験(交差適合試験)を行うため、副作用を防ぐことができます。

大量出血を伴う病気、血液が壊され貧血になる病気、事故など、緊急で輸血が必要になる場面は少なくありません。
しかし、人間のように献血により全血液型の血液が集められていて、いつでも輸血ができる体制など動物にはありません。
では輸血が必要になった時はどうしているのか・・・
動物病院によりますが、病院で飼育されている犬や病院スタッフの犬から血液を採取することが多いのが現状です。
さらに、病院が患者さん達に/飼い主さんがお友達に声を掛け、協力してくれる子を探します。
供血犬になるには、体重や年齢、予防歴などの条件がありますが、DEA1.1を調べておけば困っている子がいる時やいざという時に役に立つかもしれません。
当院ではDEA1.1をいつでも調べることができるので、ぜひご相談ください。

【補足】
近年になってDEA型以外に新しい血液型(Dal抗原、Kai 1 / Kai 2など)がいくつか見つかっており、犬の血液型は現在も研究が続いています。

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この記事を書いたのは
獣医師
堀江 和香WAKA HORIE
麻布大学卒・東京都港区出身
BACKGROUND

大学卒業後、北海道の動物病院に6年間勤務。 その後、麻布大学付属動物病院にて全科研修医として勉強し、同大学病院にて腎泌尿器科の特任助手を務める。 2019年ガリレオ動物病院勤務。

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