JOURNALガリレオ通信猫ちゃんの皮膚病

最近、猫ちゃんの皮膚トラブルを診ることが多くなりました。
ほとんどの場合、毛が薄くなった、痒そうに舐めている、という症状です。

いろいろな原因がありますが、その中でも比較的多い「アトピー性皮膚炎」をご紹介しましょう。
他にも・・・
「猫過敏性皮膚炎」
「非ノミ非食物関連性過敏性皮膚炎」
「猫アトピー様皮膚炎」
「猫アトピー性皮膚症候群」
など、いろいろな呼び方があります。

発症すると、多くの場合”非常に強い痒み”を感じます。
そして多様な皮膚症状があるため、こういう病変なら=アトピー性皮膚炎とは言えません。
しかし実際は、比較的特徴的な病変があるため、分かりやすいケースが多いとも言えます。

その中でも代表的な4つの症状をご紹介します。

①頭部・頚部のびらん

①頭部・頚部のびらん↑↑
頭から首の範囲のどこかに赤く掻きこわしてしまった皮膚のめくれたような病変がある状態です。
眼と耳の間にボコボコできることが多いようです。

②粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)

②粟粒性皮膚炎↑↑
文字通りアワの種に似た小さな赤いポツポツした病変です。
お腹にできることが多いようです。

③好酸球性肉芽腫群
好酸球

③好酸球性肉芽腫群↑↑
好酸球という血液成分のひとつが異常に集まった病変です。
特徴的な潰瘍やボコボコした皮膚の盛り上がりができます。
口腔粘膜にも出てくることがあります。

④左右対称性の脱毛

④左右対称性の脱毛
比較的境界がはっきりした脱毛が見られます。
脱毛といっても、毛がパラパラと抜けるのではなく、過剰に舐めたり齧ったりすることで毛がちぎれてしまうのです。
脱毛というより、裂毛(毛が断裂する)と言った方がよいでしょう。

猫ちゃんのアトピー性皮膚炎は、まず感染症(真菌、寄生虫、細菌など)と食物アレルギーを除外し、痒がる・舐める行動の原因を除外してから診断できます。

膀胱炎や関節炎、便秘などからくる痛みや違和感のために、舐めこわすという行動をとる場合もあるため、痒みとの区別をしなくてはなりません。

アトピー性皮膚炎は上手にコントロールを続けないといけない疾患です。
痒みは猫ちゃんにとって強烈なストレスとなります。
問題が大きくなる前に、なるべく早く病院に相談しましょう。

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この記事を書いたのは
獣医師
勝村 桃子MOMOKO KATSUMURA
東京大学卒・神奈川県横浜市出身
BACKGROUND

大学卒業後、川崎市の動物病院に勤務。 その後、日本動物高度医療センター画像診断科にて11年勤務。超音波検査を専門とする。 2018年 ガリレオ動物病院勤務。

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