最近、痩せてきたような気がするけど・・・
たくさん食べるし元気だから、きっと歳のせいかな・・・。
こう思われている中高齢の猫ちゃん、意外と多いようです。
では、本当に年齢のせいでしょうか?
いえいえ、食べ過ぎなくらいガツガツ食べているのに体重が減ることはありません。
何か理由があるかも?と思った方がよいでしょう。
では、何が隠れているのでしょう。
よく原因にあげられる病気は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気=甲状腺機能亢進症です。
実は猫ちゃんの内分泌疾患では最も多く診断される病気です。
甲状腺ホルモンは全身の代謝を高めるホルモンです。
新陳代謝が活発になり、神経や骨、成長にも大きく関わる重要なホルモンです。
この甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるということは、つまり代謝が異常に亢進されるということ。
そのため、あまり病的な印象を受けませんが以下のような症状がでてきます。
- 体重減少
- 筋力の低下
- 被毛が粗剛になる
- 頻脈や不整脈
- 呼吸が荒い
- 眼がギラギラして大きく見える(瞳孔がひろがっている)
診断するためには、ホルモンの測定が必要です。
ホルモン値が高く、症状が認められる場合には治療を始めた方がよいでしょう。
多くは高齢で腎疾患を抱えていることが多いため、抗甲状腺薬を投与する内科的治療を選択します。
まれに甲状腺を切除する手術を実施する場合もあります。
いずれにしても、治療せずに放置すると甲状腺ホルモンの過剰分泌から全身に様々な影響が及び、とても複雑な病状を呈することになります。
中高齢の猫ちゃんで、よく食べるのに痩せてきた・・・は、危険信号だと考えてください。
この記事を書いたのは
BACKGROUND
大学卒業後、川崎市の動物病院に勤務。 その後、日本動物高度医療センター画像診断科にて11年勤務。超音波検査を専門とする。 2018年 ガリレオ動物病院勤務。