症状事例
Works消化器
犬の誤食

梅雨があけ、暑い夏がやってきました。
夏と言えば、海やプール、キャンプにバーベキュー!
そのバーベキュー・・・ちょっと気をつけ下さい。
みんなが美味しいお肉を食べている足元には、物欲しそうな顔でソワソワしているワンちゃんがいることでしょう。
そして、うっかり目を離した隙に・・・“串刺しのお肉やソーセージ”を盗み食いしたり、こどもが落としたお肉をまんまと食べてしまったり!
驚くことに、お肉だけならまだいいのですが、ワンちゃんは“串”も一緒に飲み込めてしまうのです。
しかも“串”は噛んでバキバキと折られているかと思いきや、そのまま飲み込んでいることが多いのです。

飲み込まれた串はどうなるのでしょうか。
運良く折れて短くなり、便から出てくることもあります。
しかし、そのままを飲み込み胃の中で突き刺ささっていると、痛い思いをすることになります。

同じように、なぜこんな物を??と思う、よく飲み込む物は・・・
靴下、ボール、タオル、おもちゃがあります。
特に夏場に注意なのが、“とうもろこし”や“アイスの棒”です。
美味しい匂いがついていれば、ゴミ箱の中からとうもろこしの芯だけでも拾って食べます。
同じように、捨ててあるアイスの棒も食べるでしょう。
これらの異物が胃の中にある場合には、内視鏡で摘出することができます。
内視鏡を使えば、お腹を切らずに済みますので、その日で処置は終わります。

しかし、胃から腸に流れ出て腸の途中で詰まってしまった異物は、お腹を開けて摘出するしかありません。
そうなりやすい異物でこの時期に多いのが・・・
桃の種と梅干しの種です。大きい種は、腸の途中でよく詰まります。
さらに最も気を付けないといけないのは、“ヒモ状”のものです。
ある程度の長さのまま飲み込んでしまうと、腸で詰まるだけでなく、腸を巾着袋のヒモ部分のようにギュッと縮めてしまいます。
そうなると最悪の場合、腸が壊死して穴が開いてしまいます。
穴が開くとショック状態に陥り、死に至る場合があります。
ヒモそのものだけではなく、マットや絨毯の端っこをガシガシ噛んで、ほつれたところから太い糸を飲みこんでいくこともあり、これもヒモ状の異物となりますので注意が必要です。

夏は遊びに出かけたり、人が集まることも多い季節。
楽しいところで、うっかり何かを食べてしまったり、慣れていないものを食べて、下痢や嘔吐などの症状がでることも多くなります。
また散歩中も注意が必要です。
ワンちゃんは常にクンクンとニオイを嗅いで調査しています。
食べ物でなくても、面白い!欲しい!と思ったら、ひとまず口にくわえます。
そこで注意が必要なのは、飼主さんです。
あっ!!と思って「ダメー!食べちゃダメー!」と慌てて口から取り出そうとしてしまいますよね。
ついついやってしまうのですが・・・・これをやると、ワンちゃんは急いでその物を飲み込んでしまいます。
慌てずに、何気ない顔で、そっと口からだしてあげて下さい。
拾い癖がある子は、おやつを常に用意しておくとよいでしょう。
おやつを見せたら、口にくわえている物をポロっと出してくれるかもしれません。

異物を食べてしまったら、食べた物によっては「催吐処置」と言って、薬を使って吐かせる処置を行うこともありますが、時間が経つとその処置もできません。
とにかく、危ないものは口にしないよう十分気をつけてあげましょう。