脾臓(ひぞう)はお腹の中の左脇腹に位置する血液が豊富な臓器です。
あまり聞かない名前ですが、血液のフィルターや免疫の調整などを司る大切な臓器のひとつです。
人間がランニングしていて左脇腹が痛くなったことはありませんか。
それは脾臓の収縮が原因と言われています。
さて、わんちゃんはこの脾臓に「できもの(腫瘤)」が見つかることが珍しくありません。
健康診断で超音波検査をした時に偶然発見されるケースが多いように思います。
なぜなら、脾臓に「できもの(腫瘤)」があっても、初期の段階では血液検査に異常が出たり臨床症状がでることはほとんどないため気付けないのです。

◾️脾臓の「できもの(腫瘤)」の種類
・良性腫瘍・・・転移しない。ただし、大きくなり過ぎると破裂するなど命に関わることがある。
・悪性腫瘍・・・転移や進行が速い。中には腫瘤ではなく、脾臓全体が大きく腫れる腫瘍もある。
◾️よくみられる症状
初期は無症状ですが、進行すると次のような症状が見られることがあります。
・突然元気がなくなる、疲れやすい感じになる。
・お腹が張る
・貧血(歯茎が白っぽい)
・失神、倒れる
・震える
脾臓のできもの(腫瘤)は血液が豊富なため、突然破裂して出血を起こすことがあります。
その場合、上記のような症状がみられ一刻を争う状況になることがあります。

◾️必要な検査
・腹部超音波検査(必須)
・レントゲン検査(転移の確認)
・血液検査(貧血の有無・炎症マーカーなど)
・CT検査(全身精査する場合)
・細胞診(出血リスクがあるため、状況に応じて判断する)
◾️治療方法
脾臓に腫瘤病変を見つけたら、外科手術(脾臓摘出)が基本的な治療になります。
摘出後、良性腫瘍の場合は手術で完治となります。
悪性腫瘍の場合は、その後の経過には十分注意が必要です。
腫瘍の種類によって抗がん剤治療が必要なこともあります。
脾臓の病変は、早期発見・治療できることが、予後に大きく関わってきます。
脾臓の腫瘤はシニア期のワンちゃんに多い疾患です。
症状が出る前に見つけるためには、超音波検査を受けないと見つけられません。
シニア期の健康診断は、血液検査だけでなく腹部超音波検査を受けることをお勧めします。

幼少期から常にたくさんの犬に囲まれて過ごしていたことで、自然と獣医師を目指す。 大学卒業後、川崎市の動物病院に勤務し、その後日本動物高度医療センターで10年間勤務。同センターでは循環器・呼吸器科の医長を務める。 2018年ガリレオ動物病院を開業。



