JOURNALガリレオ通信トイレの失敗・・・どうしたらいいの?

当院では定期的にドックトレーナーによる「しつけカウンセリング」や「しつけ講座」「パピーパーティー」など様々なイベントが開催されています。

カウンセリングでは、ワンちゃんの年齢に関係なく、いろいろなお悩みのご相談を受付けています。
年齢や家族構成などにより問題も様々ですが、特に多いご相談に、子犬では「トイレの失敗」や「甘噛み」、成犬では「極度の怖がり」や「犬が嫌い」があります。

これらの問題は、何かしらの対応をしてあげないと、なかなか良くなることはありません。
しかも、放っておくともっとひどい状態になる可能性があります。

今回はご家族が特にストレスを感じる問題「トイレの失敗」を取り上げました。

4ヶ月齢の子犬がいるお宅です。
『我が家に来たばかりの頃は、きちんとケージの中でトイレが出来ていたのに、ある日ケージから出したら、色々な場所でするようになってしまった。今では家中どこでもトイレになってしまい困っています。』
というお悩みを抱えていました。

次に、2歳の成犬がいるお宅です。
『トイレの失敗をすると、マズルをつかんでオシッコに鼻先をすりつけるように臭いを嗅がせています。しかし最近では、見つからない所でこっそりやって、しらん顔をしています。』
と独自の対応をしているものの、なかなか改善しないということです。

このようなご相談を受けた場合、まずお話しするのは・・・
“犬という動物の本能や習性を理解してみましょう”ということです。

本来“犬”という動物は、オシッコやウンチを寝床と離れたところにします。
なぜなら、犬はとてもキレイ好きな動物であり、さらに寝床におしっこの臭いがすると敵に見つかりやすいから、だと考えられています。

つまり、犬はそもそも自分の寝床と離れたところで用を足したいと思っている、ということです。

その離れた場所が、ソファーの後ろや廊下の隅っこ、電気の消えた薄暗いお部屋の絨毯の上だったりするのです。
ここで理解しないといけないことは、ワンちゃんはその場所を選んで用を足しており、それが本能的には自然なことで、ちゃんと理由があるのだ、ということです。

では、人間側がその場所をトイレにして欲しくない場合どうしたらよいでしょうか?

まず・・・
犬の習性を考えたトイレの配置とその周囲の環境を整えてあげることです。
いくつかポイントがあります。
① トイレと寝床とは距離をとる(トイレとベッドを隣に置かない)。
② 人の往来が少なく、落ち着いて用を足せる場所にトイレを配置する。
③ トイレシートのサイズは大きめにする。
この3つを満たす環境をうまく作ってあげないと、トイレとして使ってもらえないどころか他の問題行動を起こす原因にもなってしまいます。

次に大切なのは・・・
失敗しても叱らないこと!
叱っているのに何度も違う場所で用を足すのであれば、そのワンちゃんは叱られていることを理解していない可能性があります。
むしろ飼い主さんの反応を喜んでしまうか、逆に恐怖を感じた場合は、さらに人の目につかないように隠れて用を足すようになります。

そして、上手に出来たらすぐにたくさん褒めてあげること!
ワンちゃんは全て経験に基づき学習していきますので、褒めてもらって嬉しかった経験は、必ず次の学習につながっていきます。

繰り返しになりますが、犬は本能でトイレと寝床はできるだけ離したい動物ですので、そのことをきちんと考えてあげて、落ち着いてトイレができる場所を整えてあげることが、成功への近道になります。

これらのポイントは押さえているのに、どうしてもうまくいかないと言う場合には、生理的あるいは体の構造的異常も考えないといけないことから、早めに獣医師に相談する必要があるかもしれません。

まずは、きちんと“犬”という動物を理解し対応してあげることが大切です。

日吉ガリレオ動物病院では定期的にしつけ講座やパピーパーティー などを開催しており、さらにカウンセリングは個別対応のため、ご希望の日程に合わせて行なっております。

何かお困りのことや講座参加のご希望などがございましたら、お気軽にお問合せください。

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この記事を書いたのは
獣医師
勝村 桃子MOMOKO KATSUMURA
東京大学卒・神奈川県横浜市出身
BACKGROUND

大学卒業後、川崎市の動物病院に勤務。 その後、日本動物高度医療センター画像診断科にて11年勤務。超音波検査を専門とする。 2018年 ガリレオ動物病院勤務。

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