トイレを失敗するわけではないのだけど、不意にオシッコがポタポタ垂れたり、寝ていたところにオシッコのシミがあったり、なんだかキレが悪い感じだったり・・・
実は、「うちの子の事だ!」という飼主さんは意外に多いかと思います。
尿モレ(尿失禁)とは自分の意思とは関係なく、無意識のうちに尿が漏れ出てしまうことですが、なんとなく年齢のせいかな、と思うかもしれません。
真っ赤な尿が出たり、オシッコしたいのに出なかったら・・・きっとすぐに病院に連れて行くでしょう。
けれど、オシッコが少し漏れるけど、普通に出ているし、色もいつも通りだったら・・・少し様子を見ようと考えるかと思います。
実は・・・尿モレを起こす原因はたくさんあります。
そして原因は2つに分類されます。
その① 尿を膀胱に貯留できない問題がある場合
・先天性の異常:生まれつきの構造的な問題で、若齢時から症状が出る。異所性尿管や膣狭窄など。
・尿道括約筋の機能障害:尿道のしまりが悪い状態。横になっている時に漏れ出てしまうことが多く、メス犬で多くみられる。
・炎症による尿失禁:膀胱や尿道の炎症により排尿の調節ができなくなる。
その② 尿の排泄がうまくできない問題がある場合
・尿道の閉塞:結石や血餅、腫瘍などで尿道が塞がったり、狭くなることでスムーズに尿が出ない。前立腺の問題でも同様のことが起こる。
・膀胱・尿道括約筋の機能障害:神経性の障害で膀胱が収縮ができず、多量に溜まりすぎることで漏れ出てしまう。
原因によって、手術で治せるのかお薬で治せるのか、全く治療法が異なります。
尿モレは粗相とは違い、本人は気が付かないものです。
病気が原因であることが多いので、オシッコの失敗だと思って叱らないようにして下さい。
オムツを使って困らなくなり、尿モレに慣れてしまうと、ついつい問題視しなくなります。
あれ?と思ったら、まずは病院に相談しましょう。
どんな状況で漏れるのか、よく観察することも大切です。
大学卒業後、北海道の動物病院に6年間勤務。 その後、麻布大学付属動物病院にて全科研修医として勉強し、同大学病院にて腎泌尿器科の特任助手を務める。 2019年ガリレオ動物病院勤務。